設計:宮澤匡平
構造:落合陽
用途:茶室
芒隙空(ススキノソラ)は45角製材で作られる茶室である。45角材は通常建築において根太や垂木といった仕上げによって隠されてしまう材である。芒隙空はそのような材を構造躯体化粧表しとして用いるということを念頭に置いて設計した。
構造的な特徴は約2mの片持ち構造である。しかもこの構造にはスパンの途中に2か所の継手が配置される。これは片持ち屋根の下で茶会を催されることを考えた意匠上の要求であった。さらにその片持ち構造は極力目立たない接合で成立させることが望まれた。
芒隙空は躯体を化粧表しとするため、この片持ち屋根は自重のみを支持すればよい。45角材どうしの接合は非常に狭いパネルゾーンにビスを配置する必要があるが、一つのパネルゾーンに最低でも2本ずつビスを配置し、屋根自重に対するモーメント抵抗を講じ片持ち構造を成立させた。また万が一のフェイルセーフのため、パネルゾーン下部にせん断支持のための材を配置した。これは木材を斜めカットした際の端材を活用している。
また壁の倒れ留めに四角形のフレームで補強した。これも木材のめりこみに期待したモーメント抵抗接合で目立たないように工夫した。
芒隙空は片持ち構造を目立たない接合部でいかに軽快に成立させるかを念頭に置き構造計画を行った。
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